| 1. |
鳳仙(たまくら)ぬ花や 手の先に染めて
親(うや)ぬ訓(ゆ)し事(ぐと)や 肝(きむ)に染めろ |
| |
ほうせんかの花の汁で爪を染めるように、親の教えることは深く心にとめておくように。
|
| 2. |
心持(む)ち方や 芭蕉(ばしゃ)の葉ぬ広さ
松の葉ぬ狭さ 持つなよ加那(かな) |
| |
心の持ち方は、いつも芭蕉の葉のように広く持ちなさい。松の葉のようにせまい心を持ったらいけませんよ。
|
| 3. |
意見訓(ゆ)し事(ぐと)や 身の上ぬたから
耳に聞きとめて 胸に染めれ |
| |
意見を言われたり教えられたりすることは、自分のためになることである。よく聞いて胸におさめなさい。
|
| 4. |
山ぬ木の高さ 風ににくまれて
気分(きむ)高(たは)さ持(む)てば 他人(よそ)がにくも |
| |
山の上の高い木は、いつも風にさらされている。人もあまり気位を高く持ちすぎると、他の人ににくまれる。
|
| 5. |
花なれば匂い 枝(えな)持(む)ちや要(い)らぬ
姿(なり)振りや要(い)らぬ 人は心 |
| |
芳香を放った花の匂いに、人はひきつけられる。人は外見よりも心の持ち方が大切である。
|
| 6. |
皿の(さらぬ)水だむぞ 吹けば波立ちゅり
吾(わ)が悪さあてど 他人(よそ)や謗(そし)る |
| |
皿の水でさえも 吹いたら波が立つように自分に何かやましいことがあればこそ他人からとやかく言われるのです。
|
| 7. |
読んだり習たりや 童内さらめ
年の過じからや 思(うも)うたばかり |
| |
勉強することは小さい時からですよ。年を取ってからは、思っただけでできることではない。
|
| 8. |
ねたさあんち思(うむ)て 人のかげ言うな
吾身(わみ)ぬ為ならず 仇となりゅる |
| |
憎らしいと思って人のかげ口言うなよ。人の悪口言って決して自分の為にはならない。
|
| 9. |
恥になる事や露ほどもするな
恥ぬ重なれば 先ぬ暗さ |
| |
悪いことをしてはいけない。悪さが重なっていけば人の一生が暗くだめになるのです。
|
| 10. |
親ぬ お蔭あてど 豊かな暮らし
いつもあんち思(うも)て 気儘するな |
| |
親のおかげでこんなに不自由なく暮らしているが、いつまでもこのようにあると思ってわがまま・ぜいたくをしてはいけない。
|
| 11. |
心持ち 身持ち 真直ぐさえあれば
おそろしや ねらん 恥ねらん |
| |
人に迷惑をかけないよう 自分の考え やり方が正しければ 決しておそれることはない。
|
| 12. |
人間はよ 麦ん子なるなよ
稲ん子なれよ |
| |
麦の穂は実れば実るほど穂を垂れるように、人間も稲のようになってほしい。
「実るほど 頭を垂れる稲穂かな。」
|
| 13. |
天(てぃん)ぬ群(ぶれ) 星(ぶし)や数(ゆ)めばゆまりゆすが
親の教訓(ゆすぃぐと)や数みやならぬ |
| |
空に輝く沢山の星は数えられるけれども、親の教訓は限りなくあり、数えることができない。
|